『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』等の
“原点”を
思わせるキャラクターたち

「プロデューサーからのメッセージ」で語られている通り、この『オリバー!』は、サー・キャメロン・マッキントッシュの原点とも言うべき作品。また『レ・ミゼラブル』の作詞家&作曲家のインスピレーションの元となった作品だ。

だからだろうか、本作には、後のマッキントッシュ作品を彷彿とさせるキャラクターたちが多数登場する。もちろんそれぞれ原作等は存在するが、どこか通底するものを感じさせるのだ。

フェイギンは、言わずとしれた『ミス・サイゴン』のエンジニア。両役を経験した市村正親自身がたびたび語っているように、子供たちにスリをさせるフェイギンと、バーガールに商売をさせるエンジニアはとてもよく似ている。共に宝箱を隠し持っているところも、ファン心をくすぐる共通点だ。

ドジャーは、勇気と男気があり、大人のように振る舞う少年で、『レ・ミゼラブル』のガブローシュを思わせる。したたかで、生き抜く力に溢れ、ちょっとコミカルな顔も見せるミスター・バンブルと、ミセス・コーニーは、まるで『レ・ミゼラブル』のテナルディエ夫妻のよう。

そしてナンシーは、子供たちに希望を灯す存在としては『メリー・ポピンズ』のメリーのようでもあり、貧しい中でも強く生き、愛する者に献身的に尽くす女性という点では『レ・ミゼラブル』のファンテーヌやエポニーヌの要素も感じさせる。さまざまな顔を持った、実に魅力的なキャラクターだ。

ミュージカルファンであればマニアックに深掘りでき、初心者は王道作品として楽しめる、それがこの『オリバー!』なのだ。